実戦試射によって大戦果を挙げ、その開発は順風満帆に見えた99型砲。しかし現実には、耐久性と整備性に於いて実用化を語る水準にすら到達しておらず、実戦での運用は遠く険しい道のりであった。
分解整備中の99型砲を前に、唯依の心は揺れる。国際政治的な思惑からXFJ計画とユウヤたちを守るため、自らも同じ土俵に上がり策を弄して対抗した。だが、武人の本懐からかけ離れた行動への違和感は拭えず、自己嫌悪が心の奥底に燻り続けていた。
そんな唯依に追い討ちをかけたのはユウヤの言葉であった。
『──今度こそ……本気のあんたに勝ってみせる……!!』
その真摯な眼差しは、今の唯依にとってあまりに眩し過ぎた。
野外格納庫に隣接するプレハブの大部屋に、整備兵を除く国連遠征部隊の関係者が集められ、イブラヒムからBETAの接近により数日中に実戦試験が再実施されることが告げられる。だが、イブラヒムから試験内容やスケジュールに変更はないことが伝えられ、強い失望感がユウヤの胸中にのし掛かる。
さらに、出撃前のブリーフィングで不知火・弐型に出撃中止命令が下され、ユウヤは実戦の場に立つ貴重な機会を失い苛立つ。だがその決定に、XFJ計画の最高技術顧問にして米国兵器産業の雄であるボーニング社・戦術機開発部門のナンバー2、ハイネマンが異を唱える。
「F-15・ACTVの近接格闘試験だけでもやっていただきたいねえ」
ハイネマンの要請に、ソ連実験部隊の指揮官でありながらこの遠征中はアドバイザーとしてアルゴス試験小隊のブリーフィングに参加していたサンダークが、随伴機として不知火・弐型の出撃を進言。一方、ドーゥル中尉は彼に、ユウヤの随伴を強く推す理由を問いただす。
ブリーフィング・ルーム内に緊張が流れる──。 |